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スプートニクの恋人
- 2008/08/08(Fri) -
スプートニクの恋人スプートニクの恋人
(1999/04)
村上 春樹

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友人に薦められて、旅行に持っていったのですが、
過密スケジュールだったので、日本に帰ってきてから読書しました。

ダン・ブラウンかSFとか、広瀬隆とか小林秀雄とかニュー・エイジの本しか殆ど読まない私が、
恋愛小説、それも初めての村上春樹ということで、どうなるだろうと思っていました。

読んでみて、まず衝撃。吉本ばなな以来の衝撃。
読み易いんですね・・・心に素直に入ってくる。

まず読んでいて、村上春樹という人は、翻訳を多く手がけているのだろうと感じました。
私も拙いですが翻訳をしているのでわかるんですが、文体の構成とか使われている語彙とかに翻訳者独特のものがある。簡潔で読み易い。(私は違いますけど苦笑)
たぶん若い頃からペーパー・バックで英文を乱読されたのではないのかな?と感じました。

すみれっていう登場人物の名前も印象的。
物語はすみれ、ミュウ、僕の3人の非凡な人達が、交錯する話なんですが・・・
20代の若い瑞々しい『恋』を、スプートニクになぞらえています。
たぶん、文中に書かれている『象徴と記号』は、だんだんと変化していくスプートニクの意味について表しているのではないか、と感じました。
最初はブートニクの間違い、でもスプートニクという衛星があって、それがすみれの初めてで激しい恋になんか共通しているものがあって、次にロシア語で「旅の道連れ」という意味もある・・・というように恋の象徴が、そのロシア語の意味で等号に結ばれる記号になるような気がしました。

20代の恋って純粋で熱いものがある・・・心がショートしそうになるくらいに・・・
恋に肉体に焦がれるてしまうものがある・・・アンバランスに。
そんなところから、ミュウの20代にスイスで起こったドッペルゲンガーを引き起こしてしまったのではないかと推測しました。
多次元の存在。
量子力学の世界。
向こうの世界では、フェルナンドに身を任せてしまう淫らなミュウが存在する。
向こうの世界なら、すみれはミュウへの想いを遂げられるのかもしれない。
そして、向こうの世界でなら、僕はすみれと交わることが出来るのだろう。
それは、スプートニクのような衛星や小惑星が楕円かもしれないけれど弧を描き、交差する一瞬にも似ているような・・・それはエネルギーの爆発のようなものを感じました。冒頭の部分です。
そう、量子力学。
最後の部分、すみれから電話がかかてきて電話が切れて、それでも動じなくて僕が、どこへでも行くことが出来る。・・・静かにたぐり寄せていけばいいのだ。と言っている部分。
そして、血はすでにどこかに静かにしみこんでしまったのだ、と言っている部分。
多次元への扉の象徴が、むかし僕がすみれに説明した中国の門なのだろうと感じました。
戦士の遺骨を並べて積み上げて塗りこんだ外壁に犬の血しぶきを浴びせて完成する門。
僕はすみれがいないと現実と繋がっていられなかったのに、ギリシャへの旅が僕を変えた。
僕は確信したのではないだろうか、すみれを見つけ出せると。もう見失うことはないと。
向こう側へ自分も行けると・・・。
まだ10代にも満たないであろう、にんじんの強固な意志に、それはたぶん、母親への思慕が底辺にあり引き起こしたことなのだろうけれど・・・
にんじんの母親との別れ、そして魂の抜け殻のようなミュウ、そしてすみれ。
僕も充分、スプートニクの恋人なのではないだろうか?
そんな風に感じました。

その他については、

村上春樹という人は、どうしてそんなに孤独を感じたのだろう・・・そんな疑問があるんです・・・。

文章の中にアムステルダムでのトランジットの場面が出てきたり、ローマからヴェネチアへ電車に乗った下りが、自分も体験していたことなので、とても雰囲気がわかりました。

そして音楽に深いですね・・・私は、ホロビッツやリヒテル位しかわからなかったけれど、クラッシックに造詣が深い人なのがよくわかりました。これは小説を立体的にさせますね。3次元的というか4次元的というか・・・。

きっと、いつかノーベル賞を取られるのではないでしょうか?
そんな気がしてなりませんでした。
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